ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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「ファラスさん」
 怒りに白く灼き切れそうな意識に、少年の声が響いた。はっとヨンゲの『時の指針書』から顔を上げると、利発そうな青紫の瞳を瞬かせ自分を見上げる少年の顔がある。少年に向き直ると、手に持った紙の束が差し出された。
「ヨンゲさんが研究していた『ヘルゲゴーグ』の資料です」
 少年が両手で持たねばならぬ程の厚みのある資料を繰れば、見慣れた異形獣の成長過程が絵付きで記されている。細やかな研究者らしい線画は、戦いで関わった者にはできない忠実さだ。爪や甲殻の強度を出す為の素材配分、魔力収集回路の計算式などは、製作者のみが知る情報だ。さらに収集した魔力をヘルゲゴーグの集積回路から回収し、時渡りの力を抽出する装置にまで言及されている。
 見覚えのある形に視線を向ければ、部屋の隅に置かれた大きな硝子の筒が見える。
 ヨンゲが研究していたヘルゲゴーグが、自分達が異形獣と呼ぶ魔法生物であると立証する重要な証拠となるだろう。多くの資料に押された王立アルケミアの印章とヨンゲのサインが、この証拠を保証するようだ。
 しかし。自分はヨンゲの『時の指針書』に視線を落とす。
 この中には魔法生物と記述はあれ、ヘルゲゴールと記載はない。国王陛下がヘルゲゴールの開発を指示したとは断言できない。しかし、この資料が王宮に提出されていなければ、この研究は隠蔽されていた事になる。監査をすり抜け隠蔽できたなら、国王陛下が関わっている事は間違い無いだろう。
 異形獣の被害は噂で聞いている。魔力を一気に多量に失えば命の危機があり、決して少なく無い人数が命を落としたと聞く。ヨンゲは製造に関わった。しかし異形獣を使役しエテーネの民を襲わせているのは、この王立アルケミアで錬金術師達を殺害したのは、国王陛下という事になる。
 この証拠を手に告発すれは、エテーネ王国は大きく揺らぐ。
 激しい心臓の音と共に視界が明滅する。縋りたいお姿は、探せど見つからない。
 あぁ、リンジャハルの大災害の時、どうしてお側を離れてしまったのか…。主の一大事に、従者の責務を果たせなかった後悔が胸を締め付ける。
「これを訴えても、揉み消されてしまうと思います」
 少年の声が暗闇の中に差し込んだ。視線を向ければ人々を蹂躙する国王の身勝手さに怒れる瞳が、明けの明星が輝く夜明け前の空のように美しい。
「このアルケミアの人々を殺した相手なら、訴えた途端に僕達も口封じの為に危険に晒されます。まずは、この事実を冷静に受け止めてくれる人を探す必要があります」
 なるほど。自分は少年の言葉に、冷静さを取り戻していくのを感じた。
 顎に手を当て、視線を宙に泳がせて思案する。
 ドミネウス陛下に直訴しても、この証拠は信用ならぬと言われてしまえば意味がない。最終的にドミネウス様は玉座を追われ、新しい王が即位する事態に発展するだろう。少年の言う通り、この証拠を見て冷静に事態を分析できる人物の協力が必要だ。
 この事実を捨て置く訳ではないが、慎重に物事を進めなくてはならない。

証拠を得て、たどり着いた事実。
ヨンゲさんは命を狙われてるから速攻で訴える姿勢だったろうが、もみ消しされるのは確定でしょうからねぇ。存命だったら自由人の集落に降るかして身を隠して、主人公に証拠を託すのがベストでしょうが託してくれたかはわかりませんね。
ヨンゲさんが死んだからこそ、明らかになる事実かもしれません。

うわぁああ!拍手が沁みます!ありがてぇ!
実は先週末に求人応募した介護施設、不採用にされちゃいましてねぇ。今、ようやく、気持ちが上向いてきたところです。正直、自分もここまで凹むとは思いませんでした。
だから、久々の拍手、とっっっても嬉しいです!
この拍手を噛み締めて、今日を乗り越えます。

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