ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 しなやかな指が先攻を促すように向けられました。
 私は生唾を飲み下し、近くにいたスライムの駒に『前へ』と命じる。すると巨大な塔のような駒が浮き上がり、一つ前のマスに着地する。偽物は巨大な指でスライムの駒を摘むと、一歩こちらへ前進させる。動きは従来のモンスターチェスと同じようですね。脳内で現在の盤面を浮かべながら、次の一手を示す。
 すると、私の上にメレアーデ様のガーゴイルの駒が下される。至近距離で雷が落ちたような衝撃と音が私を揺さぶり、地面から跳ね上げられた私はほんの数歩前に置かれた駒を見上げる。駒を摘んだ指が離れ、まるでギロチンの刃のように爪が私へ向けられる。
「頑張ってお逃げなさい、ディアンジ。貴方がキングの駒よ」
 私はキングの駒があるべき場所へ、視線を走らせた。
 確かに、そこには駒が置かれていない。私が自由に盤面状を動けるとしても、マス目一つ一つが王都の一区画分の広さを持っています。もし追い詰められて駒に囲い込まれてしまったら、チェックメイト。私は偽物のメレアーデ様に摘み上げられてしまうか、駒に押し潰されてしまう!
 遥か彼方の盤面の向こうに、偽物の手が伸ばされる。砂時計がひっくり返され、豪雨の音を響かせて夕焼け色の砂が落ちていく。
 控えめな色艶の紅を塗った唇が、大気を震わせて言葉を紡ぐ。
「この砂が全部落ちたら、貴方の順番は終了よ」
 時間を稼がせては貰えないという事ですね。私は顎に滴った汗を拳で拭いました。
 時々、クオード様にも勝利する腕前の私は、決してチェスは弱くないと思っています。王立アルケミアでも、腕前は真ん中よりちょっとだけ上といったところです。しかし、盤面を俯瞰できる偽物と、脳内で駒の位置を把握するしかない私とでは状況の差は明らかです。
 ガーゴイルの駒が取られ、メイデンドールが睨みを利かされて動けぬ状況。着々と追い詰められているのを感じていました。スライムの駒はいくつか最奥に到達し、八方向に進むスライムに成る。しかし、偽物のキングであるキングリザードの駒は巧みに逃げ、私に迫ってきています。  
 動き回って汗だくの私を、組んだ手の上に顎を乗せた偽物が眺めている。
「思った以上に粘るわね、ディアンジ。殺したりしないから、降参なさい」
 殺しはしない。
 その言葉に嘘はないでしょう。この状況を打破する為に『星華のライト』を求めたザグルフが、生きているのが何よりの証拠です。遠からずチェックメイトで私が駒に潰されるか、偽物に摘み上げられる未来がやってくるのは確定していました。
 迫る駒の恐怖に心が折れ、偽物でもメレアーデ様の慈悲深い笑みに言葉を受け入れた者もいるでしょう。しかし、私はにやりと笑いました。
「残念ですが、諦めが悪いのが私の良いところなのですよ」

あ!稲野はスライムベス型砂時計持ってます!!!!!!!

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