ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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ふぅと熱い息を吐き出すと、カーテンが開け放たれ燦々と日が差し込む窓辺へ目を向ける。
半年前、ドミネウス邸でお茶をしたのが遠い昔のよう。種族すら違う他人を兄と慕い、嵐のような不安の中で必死に希望の光を灯し続けた少年。穏やかな眼差しの奥に、時折雷光のような光が走る青年。あの時テーブルを囲んだ二人の瞳は、とても真っ直ぐで澄んでいた。
彼らはエテーネ王国の諍いとは、全く関係のない旅人だ。
時渡りの力を収集する異形獣を倒したレナートを、父は目的遂行の障害と捉えたのだろう。王立アルケミアから国王の指揮下の元異形獣が製造された、国王に引き渡された証拠を持ち出したルアム達を目障りに感じたのだろう。でも、理由なんて関係ない。彼らが父の野望の為に殺されようとしているのを、娘の私こそが阻止しなくてはならないのよ!
正攻法を好む弟は、まずはこの証拠を手に父を糾弾するだろう。ここに本物があるのは、取り上げられ隠滅されるのを防ぐ為だ。
父が素直に異形獣を封印し極刑を翻すとは、クオードこそ思ってはいない。
むしろ、この証拠が捏造されたものだと、この証拠そのものを否定しにかかるに違いない。エテーネ王国の裁判では、双方の『時の指針書』が行動の証拠として提出される。この場合ならヨンゲ所長の『時の指針書』にどれだけ異形獣の研究が王の命令であると書かれていても、王の『時の指針書』に異形獣の研究を命じよと書かれていなければ、どちらが正しいかという検証が行われる。
クオードは可笑しい話だと笑っていたわね。その者の行った行動が書かれた訳でもない『時の指針書』を証拠とするのは可笑しいと。
当然、検証は行われないでしょう。王立アルケミアの所長は既に亡く、エテーネ王国国王に向かって不正を正すなんて誰もできない。最終的に父がその証拠は捏造であると断言するだろう。下手をすれば、その証拠は発見者である異邦人達がエテーネ王国転覆の為に仕組んだ罠として、三人の国家反逆罪を正当化する要因にされてしまう。
父は絶対に極刑を翻さない。
でも、クオードはそんな無駄な行為を敢えてしようとしている。
これは陽動ね。
錬金術は完璧ではない。多くの民を処刑してきた『黄金刑』にも、何らかの欠点があるはずうよ。国王の目の光る状況では、その欠点を突く事はできない。
でも、流石に王の子供が王を訴えれば、王も臣下への体裁を繕う為に対応しなければならない。証拠を捏造と断言し、異邦人達に下した国家反逆罪の正当化に躍起になれば大きな隙が生まれる。クオードなら抜かりなく軍団長が国王陛下を糾弾するという噂を流して、王宮全体の注意を引き寄せてくれるだろう。その隙に『黄金刑』を回避する秘策を、施さなければならない。
制限時間はクオードが父に謁見するまでの間。
それまでの間に、『黄金刑』を回避する方法を見つけ出さなくちゃ!
にゃーお。
クロちゃんにそっと頬擦りされて初めて、自分の体と心が強張っているのを知った。あぁ、ダメね。チェス盤を挟んで向こうに座る弟に『そんなに前のめりじゃ勝てる勝負も勝てないわよ!』って言ったばかりだったのに。
私は可愛い猫をそっと撫でる。ごろごろと喉が愛らしく鳴った。
あぁ! クールなクロちゃんが、珍しく甘えん坊! やだ! とっても可愛いいわ!
「クロちゃん、私を応援してくれるの? ほら、もっと甘えて良いのよ!」
がばっと可愛い黒と白の猫を抱き寄せて、わしわし撫で回して、すりすり頬擦りする。腕の中で迷惑そうににゃーおと鳴いて、クロちゃんはするりと腕の中から抜け出してしまった。少し離れた所に座ると、おすまし顔で顔を掻く。
頬杖で潰れた頬が、にっこりと沈んでいく。
んもう。猫ってどうして、こんなに可愛いのかしら?
せっかくカッコいい軍師メレアーデ様も、最後のオチは猫バカで落ち着きました。
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