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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 テンレスを追い出したことでリリオルにはこっぴどく叱られたが、テンレスが前を向く為なら仕方がないと最終的には納得した。俺はあの親子からエテーネ村への行き方を聞いていたから、少ししたら旅行がてら行ってみようと言ってやった。リリオルのやつ、なんともまぁ嬉しそうな顔しやがって。
 久々の親子水入らずは、想像以上に寂しかった。しかしそれも長くは続かねぇ。テンレスは半年もしないうちに帰ってきた。
 俺はテンレスをエテーネ村に向かわせて良かったと思った。テンレスはもともと飄々としながらも明るい男だったが、どこか暗い影を見ずにはいられない男だった。それが雲一つない晴天のように晴れやかな、すっきりとした顔をしていやがった。テンレスの変化を一番喜んだのは、外でもないリリオルだった。
「俺、やりたい事が見つかったんだ。俺にしか出来ない、そんなことをさ!」
 テンレスはそこから錬金術にのめり込むようになった。何かを作り出そうと失敗を重ねて、目も眩む大金で手に入れる素材を買う為に多くの依頼をこなした。並行して近所の農家や園芸好きな老人のもとに足繁く通い、俺はテンレスが作ろうとしているのは植物の類なのだろうと思っていた。
 何をしようとしているんだ?俺の問いに一度だけ答えてくれた事がある。
「故郷に特別な花が咲くんだ。それを弟のために咲かせるんだ」
 良く分からなかったが、テンレスの弟想いは良くわかっていた。テンレスが研究に没頭しながらも、俺達の生活が穏やかに過ぎ去っていった。これから起きる変化と言えば、テンレスの研究が成功することくらいか。リリオルに言い寄る男共はそこそこにいたが、リリオルは全く相手にしなかった。このまま時が過ぎ去ってくと、俺は思っていた。
 そんなある日、酒場のマスターが俺に耳打ちした。
「なぁ、イッショウさんよ。あんたの所の若いの、やばい仕事でもしてるのか?」
 俺は耳を疑った。テンレスの錬金術師としての腕前は、グランゼドーラにも届かんばかりものになりつつあった。それでも、あいつは自分の腕を奢ったことはない。いつでも、俺とリリオルの事を気遣っている。あいつが俺達を危険に晒すような真似に手を出すなんて、遥か彼方に見える天を衝く魔塔が崩れるくらいにありえない話だった。
「最近、あんた達のことを嗅ぎ回る、柄の悪い男がいるんだ。粗暴で気味が悪い。とても善良な一般市民とは思えない雰囲気でさ。若いのの耳にも入れて、用心しな。あれは人殺しだってしそうな奴だぜ」
 マスターの忠告の意味を俺は数時間後には痛感することになった。
 俺の家は売り払われ、俺がテンレスとリリオルの為に貯めていた貯金は全て下されていた。街中を探しても、テンレスとリリオルの姿はなかった。そしてマスターの話していた男が俺の前に現れた。
 テンレスはどこへいった?
 それは果たして人の声だったのだろうか? まるで地獄の底に通じる穴から響く、恐ろしい魔物の呻き声のような恐ろしい声だった。俺は知らないと答えた。実際に知らなかったし、リリオルまでいなくなるとは思わなかった。俺が男に向かって二人に何かしやがったのかと言い返したくらいだった。
 優秀で、明るくて、リリオルとも年が近いテンレス。リリオルが良いと言えば、俺はテンレスになら…そう思うほどだった。
 家族だと思っていた。
 こうも全てを根こそぎに持って行ってしまう詐欺師だとは、とても思えなかった。
 だが、俺の手元には何一つ残らなかった。
 娘も。家も。錬金釜も。金も。何もかもあいつは持っていってしまった。
 裏切られた怒りはふつふつと腑を煮る。それなのに思い出すのは奴の笑顔ばかり。この怒りを誰にぶつけるべきなのか。俺は堪えた。いつか、いつか、ぶつけるべき相手が戻ってくると信じていた。
「そしてようやく現れた訳だ。テンレスの弟、だっけ?」
 どこをどう見てもプクリポだが、テンレスは弟を血が繋がった兄弟と表現したことはない。だが、それは些細なことだ。テンレスの弟を自称するなら、テンレスが負うべき責任を被せたって文句は言わねぇだろう?
「その猫耳きっちり揃えて、俺に迷惑料を払ってもらおうか!」
 ひええ!悲鳴をあげたが知ったこっちゃねぇ!
 さぁさぁ。とっとと俺に詫びやがれ!

いきなりの現代。これにてさまよいし錬金術師編は終了です。
本当にイッショウさんは可哀想な人だと思う。ある意味、兄弟姉妹の一番の被害者。信頼して家族のようだったのに、イッショウさんへの優しさがかえって仇になった悲しい事例です。イッショウさんにもいろいろ報われて欲しいです。

一つ告白しなくてはならない。
私、オンライン編で読める『さまよいし錬金術師』の本読んでない。あれを読まないとムービー解禁にならないんですよね。はは…。

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
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