ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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「自分の命を軽んじてはいけない」
有無を言わせぬ圧力に、思わず喉が詰まる。
あたしを射抜く翠の瞳は、今にも泣きそうな程に切実な感情で張り詰めていた。少しでも気が緩めば、目の表面の水分が滴となってこぼれ落ちてしまいそうだ。まるで、あたしが大切な身内で、どうか死なないでくれと懇願されているようだった。
「大災害で妹さんが死んだと思った貴女なら、残された者の気持ちが分かるはずだ」
リンジャハルの大災害の知らせを聞いた時、心臓が止まってしまったのかもしれない。胸から心臓が抉り出されたように激しく痛んで、肺が石になっちまったように息が吸えも吐けもしない。頭は大金槌に叩かれているかのように響いて、身体中の骨が砕け散ったように力が入らない。
血の繋がった、たった一人の肉親。
親父が死んだ後、絶対に守ってやるって誓った可愛い妹。
大災害に巻き込まれた時、どれほどシャンテは恐ろしい目に遭っただろう。想像するだけで、リンジャハルの公演に同行しなかった過去の自分をぶん殴ってやりたかった。
確かに隣国は、エテーネ王国の辺境よりも近かった。疫病が収束して復興で賑わうリンジャハルを、大災害が襲うだなんて誰も予想できやしなかった。行方不明者にはエテーネ国王の王弟がいるくらいだ。
「あぁ、そうさ」
あたしは肯定して、大きく息を吸い込んだ。腹の底に力を溜めて、安全な所で待っていろと言わんばかりの視線を睨み返す。
目の前で笑うシャンテが愛おしい。
記憶がないあの子に、あたしはかつてのシャンテの全てを注ぎ込んだ。好きな食べ物はこれだと教えれば、本当に美味しいと目を輝かせた夕食。好きだった歌を一緒に歌って笑い合った午後の昼下がり。お世話になった人に挨拶をした清々しい朝。性格は教えるまでもなく、素直で良い子で妹そのものだ。口調はちょっと指摘するだけで、二度と同じ間違いを繰り返さない。
全てを、素直に信じてくれた。一生懸命、あたしの妹であろうと努力して想ってくれる。
たった一つ、思うようにならなかったのは下手な歌だけ。
それすらも、愛おしくてたまらなかった。
姉さん。そう、あたしを呼んでくれる妹。
「大事な妹と離れ離れになるなんざ、二度とごめんだ!」
真剣な表情が小さく頷き、レナートは背に背負っている剣を引き抜いた。
それは普段使っている大量生産の護身用の剣とは違う、黄金の翼を広げた鳥の鍔の片手剣。王立アルケミアの研究員だった父に足繁く通った幼い頃から、国宝と称されるユマテルの秘宝も、数え切れぬ最先端の錬金術を見てきた。しかし、そのどれと比べても眩い一品だ。太陽の光のような黄金に視線は吸い寄せられ、刀身の輝きは星空を見上げるかのように心を清めていく。神話にある勇者の剣を彷彿とさせる、この剣に断てぬ物はないと思わせる逸品だ。
「危険だと思ったら、直ぐに逃げてください」
レナート君は大事な人の為に命を投げ打つことに、おもうところがある。
リンカちゃんの啖呵が気持ちいいですねぇ!
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