ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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ララリア! 逝かないでくれ、ララリア!
ゾルトグリン様の悲痛な声が、今も記憶にこびり付いている。肉体から解放され種族神ガズバラン様と共に永遠に巨悪と戦う戦列へ旅立つのは、オーガ族の誉れなんだよ。そんな魂を必死に肉体に留めようと妻の手に縋りつく大国の王の姿は、信頼できる一握りの者達にしか見せられなかったね。
床に臥したララリア様は、寄り添う小さな新雪の髪を愛おしく撫でていた。薄氷の瞳はうっすらと涙が潤んでいたが、しっかりと口元を引き結び、母の死を見届けようとする未来の王の姿が頼もしいなって思ったのを覚えてる。まだ幼い弟君は母の死を理解していないのか、兄に手を繋がれて重そうな瞼を上げ下げしている。その姿を眩しそうに見ていたララリア様は、アタイに視線を向けた。
『ムニュ。私の家族をお願いね』
オーグリード大陸の数多の王国や部族間の闘争で敗北したならば、長の首一つで丸く収まるなんて事はない。一人でも戦士が生き残れば敵討ちで国が傾ぐと言われ、皆殺しが常識だったんだ。ゾルトグリン様に敗れ死ぬはずだったアタイとゲルトの一族を、ララリア様は救ってくれた。この命は生きる事を許してくれたゾルトグリン様と、命を救ってくださったララリア様、そして二人のお子様の為に捧げると誓ったんだ。
小さく頷いたアタイに、血の気を失った顔がほっと息を吐いて安堵が広がった。
『私の可愛い子供達。よくお顔を見せて…』
アタイは王子様達に会釈をして場所を代わり、王子様達は弾けるように母に駆け寄った。乾燥した細い指を、命が溢れる小さい手が力一杯握りしめる。あぁ。死の匂いがする吐息がヒビ割れた白い唇から漏れて、まだ熱い若き吐息と混ざり合う。
ララリア様がゾルトグリン様に何かを囁き、目に宿った光が固く強張る。小さく目を見開きゆっくりと閉じられた目尻から、流れ星が朝焼け前の白い空のような肌の上を滑っていく。
王は声にならぬ悲鳴をあげ、まだ温もりの残る体を折れんばかりに抱きしめた。オルセコ闘技城の隅々にまで響き渡った王の慟哭に、国民は王妃ララリアが身罷られた事を知ったんだ。
国を越えて知られてる仲睦まじい夫婦だったから、ゾルトグリン様の悲しみは殊更に深かった。まるで魂を分けた半身を失ったように老け込んだ姿に、後を追うんじゃないかって思うのはアタイだけじゃないだろ。オルセコ屈指の戦士達は、アタイの厳命なんかなくても片時も目を離さなかった。
アタイの心配は杞憂に終わり、ゾルトグリン様は宿敵ドランドとの闘争に心血を注いだ。オルセコと共に長く戦い続けた憎い相手だけれど、この時ばかりは主君の悲しみを紛らわせてくれたと感謝してし尽くせなかったね。
『寝る間を惜しみ軍略を巡らそうと、あの鬼岩城のなんと堅固な事か…。子らの世代に、戦争を継がせる事だけは何としても避けたいのに』
ララリア様なら死ぬ前に子供達に会いたい言いそうなので、妄想でお送りいたします。
二次創作なんだから、良いじゃないか!!!!!!!!
全く更新できない中、拍手ぱちぱちありがとうございます!ようやく書けてお送りできて一安心だぜ!
