ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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「この俺を諭そうとは、いつからそんなに偉くなった?」
不快を露わにしたギルガラン様に対して、グリエ様は努めて冷静にお話しされる。
「諭している訳ではありません。父の残した焦りから、ゾンガロンになる一因を推測したまでのこと」
オーガ族は己の力でもって道を切り開くのを、部族の垣根を超えて美徳としている。種族神のご加護を願う事はあれど、それは己を鼓舞する験担ぎ程度の意味か、己の実力を種族神に見届けさせ死後の活躍の場を優遇してもらう願いのどちらかだ。
オーガ族の信念に反した他人の力に縋る行為が、『神でも悪魔でも関係ない』という言葉から伺える。ギルガラン様が父であっても軽蔑の言葉を吐き捨てるのに、アタイだってある程度理解は示せる。
確かに先王は息子に厳しく接するだけで、愛情表現の素振りすらなかったはずだ。二人の王子が先王の愛情に困惑するのも当然だろう。
でもさ、アタイは王の苦悩を直に見てきた。
言葉にしなくちゃ伝わらないし、知らないんだからしょうがないけど、ちょっと言い方酷くない? ちったあグリエ様を見習って、形だけでも御心を汲んじゃあくれないかってアタイは思ったりするんだよね。
「平和を焦る必要がどこにある。この俺が王になれば、如何なる敵国も問題ではない」
腕を組んで不遜な態度での断言を、グリエ様は真っ向から否定した。
「現在のゾンガロンの脅威を思えば、素直に肯定できないよ。ギルガラン」
ちっ。鋭い舌打ちが、静かな書庫に響く。
ゾンガロンの脅威がオルセコに及べば、間違いなく無事では済まない。多くの民が鬼人となって隣人を殺し、王国が瞬く間に瓦解するだろう。ゾンガロンを打ち倒すと揺るがぬ決意を掲げるギルガラン様を含め、オーガの誰もが鬼人になる可能性を秘めているんだから。
ムニュ大臣。グリエ様の薄氷の瞳が、薄暗い書庫で青い炎のように煌めいた。
「父が行方不明の間際に会いに向かった、ランドンの戦神とはどういう存在なのですか?」
アタイは胸の膨らみの上から腕を組んで、緩く首を振った。さらりさらりと細い直毛が、頬に触れては離れる。
「ゲルトの部族も良くは知らないんだ」
オーグリード北部からランドン山脈へ踏み込む玄関口が、ゲルト海峡の上に掛かる大石橋。気の遠くなる程の年月によって風化し、天然の石の橋となった場所に集落を構えていたのがアタイ達の部族だ。
オーガの民は天を突くランドンへ挑む挑戦者を歓迎し、支援する伝統を守っていた。山を登る者に獣の毛皮で作ったマフラーを渡し、登頂を願って馳走を振る舞う。そうなりゃ、山を登る理由を嫌でも聞かされるもんさ。腕試しや興味本位を足したくらい、神様から力を賜るって目的の登山者が居た。そんな神様の話、部族にゃ伝わってないから、族長を引き継いだアタイは妹と顔を見合わせて首を傾げたっけね。
「確かにゾルトグリン様の手記に載ってる話は、オーグリード全土に伝わってる。でも、噂以上の意味はないね」
十年に一人程度は、頂上を踏破して戻ってきたって奴がいた。本当に天辺まで行ったかは確かめようがないけど、山頂まで行って生きて帰ってきたって自信で光り輝いていられちゃあ信じるしかないだろ。
そういった奴らは、故郷で武勲を立てたり、新しく王国を建てたりしたもんさ。
でも、それは登頂者自身の力だ。神掛かった、オーガ成らざる力を使ったとは聞かない。過酷な環境を乗り越えた者が自信を得て、戦神の加護を得たような力を発揮した。それが角と尻尾をつけて、神様が力を授けるって噂に変わっちまったんじゃないかって思うんだよね。
だから、神から力を賜る為に山に挑んだゾルトグリン様と、悪鬼ゾンガロンが結びつくことがなかったんだ。
真剣に耳を傾けるグリエ様と、聞いてるのかわからない態度のギルガラン様にアタイの知ってる限りを話す。でも、全てを話す前にギルガラン様が言葉をぶった斬った。
「グリエ。お前の懸念に何の意味はない」
苛立ちを逃すように指先で叩いていた腕を解き、ギルガラン様はグリエ様に向き直って睨め付けた。眉間に皺を刻み、腹の底から放たれた怒号がグリエ様の顔に吹き掛かる!
「王が何たるかもわからず、背負うものがない第二王子は引っ込んでいろ!」
くっそギルガラン。本当に好きじゃないわ、この王様野郎め!!!!!って思いながら書いてる。憎々しさ倍々増し増しにして、ギルガランのキャラを槍みたいに尖らすぞ!!!って気合い入れてます。アスタルジアでも俺様すごいんでしょ?知らないですが。
でもまぁ、傲慢と嫌味は別個なので、ベルマちゃんほど輝かないのが悔しい。
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