ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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ギルガラン様が書庫を後にして、耳が痛くなる程の本来の静寂が戻ってくる。グリエ様がゆっくりと手を動かして片付け始めるのに習い、アタイも現実に向き合い始めた。
ムニュ大臣。割れて修繕が必要なものと、そのまま棚に戻せるものとを仕分けていたグリエ様から声が掛かる。作業の手を止めるでもなく、アタイを見るでもなく、世間話をするような声だった。
「ドランドの鬼人達の足取りは、どうなりました?」
宣戦布告をしたドランド王国。かの王国から飛び出してきた鬼人の大群は、迎え撃つべく待ち構えていたオルセコ軍を突破していった。そのままオルセコに向かうとされた鬼人達だったが、その進路はオルセコに向かう事はない。
アタイ達が知る鬼人とは違う行動に疑問を抱いたグリエ様が、ドランドの鬼人の追跡を命じたんだ。追跡を命じた兵士達は、今日の昼頃に帰還して報告を受けている。
「ランドン山脈へ入ってしまって、それ以上は追えなかったそうです」
雄峰ランドンの南側の裾野を形成するランドンフットは、広大な雪原地帯だ。追跡を命じた兵士達は雪の中を行軍する装備もないのに、良く頑張って追いかけてくれたと思う。それでも、ランドンの登山口の向こうに行った背を追いかけるのは自殺行為だ。グリエ様も任務遂行を果たせなかった兵士の判断を肯定してくれた。
手を止めたグリエ様は、細い顎に指を這わす。
「ランドンを越える必要があるとして、オルセコや生き残ったオーガ族の追撃から逃れる判断を鬼人ができるものなのか?」
何度か拿捕した鬼人を観察し、知能は獣程度のものしかないと分かっている。オーガ族であった時の言葉は失われ、歴戦の猛者でさえ染み付いた戦い方を忘れてしまう。鬼人同士殺し合わないだけで、手当たり次第に攻撃する。
今回の行動は、高度な判断能力は備えていないと思っていたアタイ達の認識を覆されているんだ。しかも今のランドンの向こうに逃れる事は、ドランドの鬼人達にとって大きな利点がある。
海峡に暮らすアタイ達ゲルトの部族も、その北に広がる広大なグレン肥沃に暮らしていたいくつもの王国も、ゾンガロンに滅ぼされてしまったんだ。滅んだ王国の生き残り達が鬼人が徘徊するその土地を捨てた為、ゾンガロンの脅威が去らぬ限りオーガ族の干渉が無い地になるだろう。
この過酷な山とオーガ族が捨てた地の合間。そこは、ドランドの鬼人達の桃源郷なんだ。
「追跡した兵士から妙な報告があったんだ」
アタイはグリエ様の熟考を中断したのを確認して、言葉を続けた。
「鬼人達の中に、黒猫を連れた人間がいるんだってさ」
ここで、ドランドの鬼人のその後を回収すっぞ!
