ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 彼はルアムさん。レナートさんが探していた『ルアム君』の一人です。
 探していた『ルアム君』は実は二人いて、同名の人間の少年と男性のプクリポだったなんて想像もできませんでした。エテーネ王国にも他種族は存在しますが、どの種族も片手で数えられる程度です。しかもレナートさんがお会いした当時、プクリポの方の『ルアム君』は具合が悪かったので医療機関に問い合わせて直ぐにいない事を確認できたそうです。だからこそ、人間の少年の方の『ルアム君』を探していたのだそうです。
 無事に再会を果たした『ルアム君』達は、現在、レナートさんと共に採取の仕事に従事しています。しかも二人の『ルアム君』は採取に行きたい人を募って、彼らの護衛をしているのです。魔物が強い地域や危険な場所、難しい素材の採取はできませんが、多くの素材が王都キィンベルに齎されています。基礎素材の相場は、ここ数日で随分と安定してきています。
 本日の配達依頼の品は多くなかったので、直ぐに確認を終えて羽ペンを手に取ります。そこで、赤いぱっちりとした瞳が私の顔をじっと見ているのに気がつきました。
「私の顔に何かついていますか?」
 んーん。笑った形の唇をへの字に結び、気付け草の束のような髪が左右に揺れます。
「この前、ティプローネ高地に緊急依頼の素材取りに行った時に、自由人の集落の方に行ったんだ。そこで錬金術師に会ったんだけど、飲んだくれのおばちゃんでさー」
「ワグミカ女史ですね」
 名前を言い当てた事に、大袈裟に驚いたのはプクリポならではなのでしょう。
 ワグミカ女史はエテーネ王国の錬金術師なら一度はその名を聞くだろう、王立アルケミアの所長を務めた人物です。先代であれ王立アルケミアの所長の座を有した事は、エテーネ王国最高の錬金術師の代名詞。あの方ならば転送の門を修理できるでしょうが、例え軍団長が頭を下げにいき協力を仰いだとしても応じないでしょうね。
「女史はお元気でしたか?」
「全然死ななそーだけど、人生つまんなそーだった。 笑かしてやりたいって血が騒いだけど、なんか目が昇天の梯の先に行っちゃってて、目の前のオイラを見てくれてなくって悲しかったな」
 そうですか。相槌を打ちながら、私の胸も哀愁に冷えていました。
 ワグミカ女史は最高の錬金術師に付随する全ての名誉を捨て辞表を提出し、『時の指針書』を燃やして、自由人の集落に降ってしまいました。エテーネ王国の民がそれを成すという事は、王国のやり方に強い拒絶と絶望を抱いているに他なりません。
 あれほどの情熱に燃えていた方が、絶望に溺れてしまう様を想像するだけで胸が痛みます。生きながらに死んだと、親友の死に立ち会った時の悲しみがまざまざと蘇ります。
「旅の娘からバントリユの化け物の話を聞いたって凄んできてさ」
 異形獣の噂は自由人の集落にまで届いたようですね。
「王都に行くなら、ヨンゲに手紙を書くから持っていけ! ってペン持ったのはいーんだけど、カクテル作ってるみてーにブルブル震えててさー。結局、お供のキンキラのモーモンが代筆してくれたんだ」
 ヨンゲ所長に女史が手紙を…? 疑問が口をついたようで、うん、と肯定が返されます。 
「この後、相棒と届けに行くの。あの俗物のデコに突きつけて参れ!って念押された」

ここで登場ワグミカ女史。
私はこののんだくれちゃんが好きでしてねぇ。それをこんなふうに書かなきゃならないなんて、悲しいなぁ。人が一番悲しむのは死ぬ事ではなく変わってしまう事だって、トリニティブラッドの主人公の名前も忘れたがこれだけは覚えてます。

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