ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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『箱の中には父の罪が記された物が入っています。俺は父を糾弾する』
 手紙から視線を上げると、テーブルの上に置かれた箱が目に入る。クロちゃんが箱を覗き込み、リボンに鼻先を寄せてふんふんと匂いを嗅いでいる。きっと手紙に付けた香水の匂いが気になるのね。
『読むかは姉さんに任せます』
 この部屋にいるのがジェリナンとポーラだけなのは、その為なのだろう。
 ジェリナンは存在を知っただけで口封じされる可能性を考慮して、侍女達を下げさせた。ただ一人残ったポーラも、ルアムの私物を着服しようとした罪を許された事、私に親の治療費を肩代わりした恩義に命を賭けて報いようとしている。
 彼らは命を懸けて、己の使命を全うしようとこの部屋に留まっているのだ。
「ありがとう、ジェリナン、ポーラ。貴方達という忠臣を持てる事を誇りに思うわ」
「メレアーデ様がそのように仰るとは、明日はスライムが降るやもしれませんね」
 優雅な仕草で空になったカップにお茶を注ぐと、生意気な執事は慇懃に頭を下げた。
「私が許可するまで、誰も入れないで」
 かしこまりました。ジェリナンが下がり扉の横に控えたのを確認して、私は箱に向き直った。
 白い箱を気にして、ぐるぐると回る黒猫をそっと撫でる。柔らかい細い毛並みの下にある暖かい体をそっと抱き寄せて、黒と白のふわふわとした暖かい日向の匂いに頬擦りする。にゃーお。不満げだけれど可愛い鳴き声を残し、しゅるりと私の腕から出ていってしまう。名残惜しそうに伸ばした手に、リボンを結んだ尻尾が触れて離れていく。
 解いたリボンに興味を示して猫パンチをする愛猫を眺めてから、私は箱の蓋を外した。
 箱の中身は『時の指針書』と『ヘルゲゴークの研究資料』。そしてもう一通のクオードの手紙だ。
 手紙を開くとクオードの文字が、緊張から固くきっちりと詰められている。
 最初に綴られたのは、本来ならドミネウス家の長男として、姉を守り父と対決しなくてはならぬ立場なのに、姉に頼らなくてはならない不甲斐なさ。クオード自身の未熟さを恥じる内容と、私を巻き込んだ事への謝罪。父の罪を正面から見つめ、立ち向かう勇敢な意志に心から感謝を捧げる言葉。
『姉さんと共に戦うなら、俺は絶対に負けない』
 そうね。私はクオードの角張った文字を撫でる。

悪役令嬢ものが世の中に氾濫してて、ただ活字を摂取したい時に読むのでお嬢様の生活みたいなのに解像度が上がりました。

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