ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 クオードは時渡りの力は優れている訳ではなかった。下手をすると、叔父夫婦の間に生まれたばかりの赤ちゃんの方が強いかもしれないくらい弱い。エテーネ王国の王族にとって時渡りの力が脆弱である事は王位継承も危ぶむ恥。
 父がクオードの時渡りの力の弱さに、失望を感じているのを察していた。
 それでも、弟は決して挫けなかった。
 剣技を学び、戦術を学び、あの若さでエテーネ王国軍を率いる軍団長になった。王国軍の誰もがクオードが国王の威光を借りて今の地位にいるのではなく、血の滲む努力の賜物だと理解している。
 だから父と対立する事の大変さ難しさを、私よりも理解しているだろう。
「私も貴方と共に戦うなら、絶対に負けないと思っているわ」
 湧き上がる誇らしさと胸の奥に灯った光に、私は勇気づけられるのを感じた。
 手紙にはこの『時の指針書』が王立アルケミア所長、ヨンゲのものであること。研究資料はヨンゲが研究していた異形獣のことが書き記されている。王立アルケミアでは異形獣が製造されており、職員は口封じの為に皆殺しにされたと続いている。
 私は込み上げる吐き気に口を押さえた。
 王立アルケミアはエテーネ王国直轄の機関。抜き打ちの監査が年に数回行われ、全ての研究者の研究報告が義務付けられている。不正は決して見逃されない。しかし王国軍も認識していない異形獣の製造が行われているとしたら、それは国王が指揮する機密事項だという事。
 父は異形獣を使って、マローネ叔母様と赤ちゃんを殺そうとした…!
 僧侶憎けりゃ法衣まで憎しとは言うけれど、叔母様や赤ちゃんに何の関係があるの? 私は父の底知れぬ憎悪に、悪寒めいたものを感じずにはいられなかった。
 時渡りの力を何に使うかは分からなけれど、エテーネ王国国民全てが異形獣の脅威に晒されつつある。父の野望から国民の命を守らなくてはいけないわ。
 でも、それよりも先にするべき事がある。
 ジェリナン。私が声を掛けると、執事はその黒い服のとおり影のようにするりと寄ってくる。神妙な面持ちが不快にならない程度寄せられると、金縁の片眼鏡が煌めいた。
「内密に黄金刑に関わる情報を掻き集めてちょうだい。あと、クオードが国王陛下に謁見する日時が決まったら、早急に知らせて」
 かしこまりました。口髭が動いて囁かれた言葉を残し、ジェリナンはポーラに小さく目配せして暇乞いをする。残された私は、マローネ叔母様を治療した魔力抽出装置が記された資料をぱたりと閉じた。

良い姉弟だなぁって思っています。信頼の高さを窺わせます。

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!

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