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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 ここで問題になるのが、器の儀式である。
 バルダニガの器になるには、手順がある。魂を宿した器が、無条件に神の器として窓口になるわけではないらしい。親父は魔王の話を幼少に聞いてから認識し、目の前に現れるようになったバルダニガに器になって欲しいと頼まれたらしい。親父は最終的にそれを承諾して、バルダニガの器になった。ササの器になる経緯が異常なだけで、互いの了承が不可欠なのだ。
 魔王が望み、器が受け入れる。バルダニガと器の間ではそれで終了なのだが、社会的にはそうはいかない。その受け入れた状態をお披露目し、各領主達や民がバルダニガの器と認める儀式があるのだ。いうなれば、器の誕生に託けた祭りだ。
 絶対、ササはそういうの嫌い。頼んでもやってくれない。だって、ササの目的はランフェスバイナを消した奴をぶっ飛ばすためであって、『世界の危機より重要?』ってお披露目を拒否するのが目に見えてる。親父もそうだったが、優先順位を土返しできないなら頑なだ。絶対無理。
 そこで俺は考えたのだ。
 ササが来る、そのタイミングに儀式をぶつけるのだ。
 自画自賛じゃねーけど、天才的発想だ。
 要は皆の前でバルダニガとの融合している状態を見せつければ良いのだ。ササはこの世界にくる時、バルダニガと融合した状態になって来るだろう。それを皆に見せれば良い。そしてバルダニガの器の証である、黒の獣交官の外套を着せれば完璧だ!
 あー! 俺ってばあたまいいなー! これで、全部解決だ! 絶対、これしかないな!
 バルも神殿でササを招くのは構わないって言ってたしな。ただ、ファルナンと違って『ササなら何処にいても連れて来れるんだけどね』と、首を傾げはしてたけどな。
『イゼフも詰めの甘い男だったが、新しい器は腑抜けも同じだぞ。あんなのが新しい器でバルダニガ様も良いんかねぇ?』
『確かに鈍臭くて直ぐに狩られて淘汰されそうな人間とは聞いていますが、それを判断するのは我々ではありませんよ。ナシュームの特使。貴方は長老の代弁者として来ているのですから、少しは口を慎まれた方がよろしいでしょう』
 お前ら、ササをよく知らないから適当に物言いやがって…。
 ササが来る本番前から疲労感が凄いが、噂が広がって親父が死んで言い逃れてた日々から、いきなり儀式の準備に駆けずり回る羽目になった日々も終わる。後もう少しだ。がんばれ俺。
 アーゼ・バルダニガの中心に踏み込むと、そこは既になかなかの密度だった。鳥達は枝という枝にぎゅうぎゅう詰めに留まっているし、獣交官も全員集合の状態だ。大樹の根本には毛繕いしているバルダニガに向かい合うように、ファルナンとランフェスバイナが立っている。ファルナンがこちらに気がついて、目を見開く。
「アーゼの要職が全員集合とか、何かあるのか?」
「ここにいる全員、ササが見たいんだってよ」
 全員。その言葉にファルナンが周囲を見回した。全員。小さく、ファルナンが呟く。
 バルダニガが領主達に戯れつくと、領主達もそれぞれに挨拶をする。最近はアーゼ領土を飛び回っているバルダニガに、領主達も親しげな笑顔を見せる。挨拶が一通り終わり、ダルフとロハニウの領主達が冷え切った会話を始めた頃だった。
 バルダニガがぴくりと動きを止め、俺達を見た。
『ササが来るよ』
 燦々と降り注いだ日差しが突然曇る。いや、雲で太陽が遮られたわけではない。太陽に蓋をするように、黒いものが太陽を遮っている。太陽を隠した黒い丸から光がこぼれ、まるで空に大きな輝く指輪が浮いているかのようだ。
 日食だ。ロハニウの領主が隠れた太陽を見上げて呟いた。
 まるで夜のようになった世界の中で、闇が傍に立っている気配がする。後ろ足で顔を掻いていたはずのバルダニガは、もう、そこにはいない。風が肌を撫でるように、闇がふわりと触れて来る。まるで肉食獣が仕留められる獲物かどうかを品定めするような、舐め回すような気配がする。もし、指一本でも動かせば殺されてしまうかもしれない。ひやりと本能が不安を煽る。
 あれほど五月蝿かった鳥達は一つも声を発することなく、飛び立つこともしない。声を出すことも、逃げ出すこともできず、ただ脅威が過ぎ去るのを待つしかない。時が止まったかのような静寂は、日の光と共に動き出す。
 太陽を覆っていた闇がさらさらと崩れて、黒い雪のように舞い降りて来る。それは蝶であったり鳥であったり魚であったり、世界に存在するありとあらゆる形になって空間を泳ぐ。くっついては大型の生命の影になり、崩れては小型の獣になる。風もなく舞う黒が集まり圧縮する。闇は人がすっぽり包まれる程度の大きさに凝縮されていた。
 闇から白い腕が生えた。腕が横に流れ静止すると、闇は大型の犬を彷彿とさせるバルダニガに変じる。変じると同時に凝縮された闇は人と分離した。獣の神である闇の頭を撫でる、自信の無さそうな表情を浮かべる女性。ササが立っている。
「やぁ、皆さんお揃いで」
 控えめだが嬉しそうにササは笑った。


モブだ賑やかしだと平凡を主張しますが、登場は魔王です。
本人は自分の行いがどう見られているのかよくわかってないので、なんで皆そんなにびっくりしてるんだろうなー? 変な服に見えるのかなー? それとも夜勤明けで風呂入って来たけど臭いのかなー? とか考えてます。

ちなみにイゼフが黒竜を操っていたのは、魔王がかっこよくて強そうな竜だろうと想像したからです。ササが暗闇の中で犬かもと思ったが故にバルダニガが犬っぽくなってしまったように、器のイメージにだいぶ左右される獣の神です。
幼少期のイゼフさんの話もちょっと浮かんでて、彼の良い人ぶりの拍車がかかります。
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