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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 前世の頃から愛馬である栗毛の馬を、アーゼ・ナシュームに向けて駆けさせる。山岳地帯はアーゼ自治領では最も奥まっていて、馬を休まず駆けさせても1日は掛かる。俺の馬はランフェスバイナで一番の駿馬ではあるが、それでも半日を切ることは難しいだろう。アーゼ・ナシュームの子供達を預かってもらっている家にたどり着くのは、夜も更ける頃合いになりそうだ。
『ファルナン。考えもなしに飛び出すのは感心しないぞ』
 鎧の隙間に身を潜めるように風をやり過ごしているランフェスバイナが言う。佐々木の言葉を聞いて俺が駆け出した時も、トーレカが同じような事を言ったような気がする。
 ランフェスバイナ王国の滅びに巻き込まれたミアリアーク。その彼女が生きていると言うことは、彼女は敵の手に落ちていた可能性がある。どんな状況であるのか、全く予測できない。本来なら取り押さえることが出来る程度に戦力を伴って行くべきなのだ。トーレカに頼めばタシュリカに乗せて運んでくれたかもしれない。
「わかってる。冷静に考えれば無駄な行為だって思ってる」
 それでも、俺は急いでいる。
 一刻も早くミアリアークの無事を確かめたかった。
 ミアリアークが敵の手に落ちて、俺達の敵になってしまったとしたら子供達を安全な場所に避難させなくてはならない。
「でも、気持ちだけが先に行ってしまって、こうせざる得ないんだ」
 本当に危険なら、バルダニガが止めに来ただろう。だが、バルダニガが来ないのは佐々木がミアリアークが安全であること、ミアリアークが俺の行先にいることが分かっているからだろう。ランフェスバイナも『仕方のない奴だ』と呟いて、鎧の隙間に引っ込んでしまった。
 来世ではファンタジーものではお約束の魔物は、この世界には存在しない。ランフェスバイナであれば深い森も夜の闇も、恐ろしい獣が支配する恐怖の時間であった。しかし、獣の神を崇め獣と共存するアーゼだからこそ、魔物という概念が存在していなかった。星空が美しく大地を照らすアーゼは、長閑な程に平和で隣国が滅ぶ脅威など無かったかのように静かだ。
 馬が駆ける音と、等間隔に揺さぶる心地よさ。流れる景色の平穏さは、俺の中にあるミアリアークへの想いを募らせる。
 どうか。どうか無事でいて欲しい。そう、願いながら時間は過ぎ去り目的地が近く。
 アーゼ・ナシュームの工房が立ち並ぶ街並みを抜け、領主ナシュームが住む山へ続く道の途中で馬を留める。大きい庭がついた小さくとも手入れの行き届いた屋敷は、ナシュームに配置された獣交官の居住地だ。子供達は馬の足音を聞きつけたのか、馬から降りた時には玄関の戸が開いた。
「おとうさま!」「おとうさまだ!」
 前世のファルナンとミアリアークの子供達だ。高槻守としての血縁関係はないが、子供達は俺を父親と慕ってくれる。
 双子だが性別も違うし、パッと見ても見間違えるほどに似てはいない。二人とも日に当たれば金にすら見えるファルナン譲りの榛色の髪と、空を彷彿とさせる美しい空色の瞳だ。顔立ちはミアリアーク譲りで、ふっくらとした幼子らしい顔立ちでも絵画のような整った美しさがある。男の子がミルファークで、大人しくてミアリアークの魔法の才を引き継いでいる。女の子がアシュリアーナ。誰に似たのか分からないが、男勝りのお転婆娘だ。
 飛び出した二人を抱きとめると、二人ともはち切れんばかりの笑顔で俺に言う。
「かあさまが かえってきたの!」「かあさま いきてたの!」
 あぁ、やっぱり。俺は子供達から玄関へ視線を向ける。玄関の明かりで逆光になってはいるが、見間違えるはずがない。美しいさらさらとした長い髪。すらっとした輪郭。ランフェスバイナで普段着る、文官としての装束は真新しいままだった。美しい青い瞳が宝石のように光を吸い込んで輝いていた。
「ミアリアーク…」
 子供達を伴い、ゆっくりと近く。闇から浮き出た白い肌、通った鼻筋、凛々しい眉根、愛らしい唇。一つ一つ確認するように見つめて、俺は安堵を吐き出すように言った。
「無事でよかった」
 本当はそのまま何処にも行けないよう抱き締めたかったが、ミアリアークはだらりと下ろした片腕に手を添えて頑なに動こうとしない。まるで拒絶しているような気配に、俺は思い留まった。子供達に『大事な話があるから、中で休んでいなさい』と伝えて室内に入らせる。子供はもう寝る時間だ。子供達も不貞腐れながらも入っていった。
 子供達を見送ると、ミアリアークはぽつりと呟いた。
「無事…。そうね。無事ではあったわ。私だけ…ね」
 後悔の念の籠もった呟きだった。その拒絶は自分だけが助かった自責の念なのだろうか。責任感の強いミアリアークなら、そう思うことは不思議じゃない。しかし、不思議だ。あれほどまで完膚なきまでに消滅した国の中心にいた彼女が、なぜ助かったのだろうか?
「誰が、助けてくれたんだ?」
 ミアリアークが美しい瞳を瞬かせた。
「ニア。世界を滅ぼそうとする脅威よ」
 俺とランフェスバイナは顔を見合わせた。世界を滅ぼそうとする脅威。それが本当ならランフェスバイナを滅ぼした張本人が、ミアリアークを助けたことになる。一体、何のために?
「私を生かす条件として、ニアに協力することになっているの」
『敵の協力ということは、この世界に益することではなさそうだな。何をしろと言われているのだ?』
 ランフェスバイナが鋭く光って問いかける。
 故郷を守れずに自責に駆られる彼女に、世界崩壊を助長する行為をさせるとは…。ニアという敵は恐ろしく残酷だ。バルダニガが言っていたが、理の外からやって来た敵の目的は確かに俺には理解できないかもしれない。恐ろしいくらいのニアの敵意と悪意を、俺は感じていた。絶対に倒さなければと、ふつふつと怒りと闘士が湧き上がってくる。
「バルダニガの器を融合の状態で打倒すること」
 ランフェスバイナが愉快そうに笑った。
『それは、人の身では無理なことだ。もう、ササは貴様を把握している。不意を打つことも難しかろう』
 この世界に来た佐々木は融合の状態で世界を探ったらしい。その時に見たあの圧倒的な力に勝てるとは、とても思えなかった。融合していない、ただの佐々木恵を相手になら殺害も可能ではあるだろう。バルダニガの守護があっても、融合の状態よりかは可能性が望める。
 なぜ、融合状態の彼らを打倒するのか? いや、それを問い詰めるよりも先にするべきことがある。
「承諾したのか?」
「そうしなければ、生きていないわ」


ファルナンとミアリアークの子供達で初めてのおつかいみたいな話も案であったんですが、要らないかなってことで無くなりました。ナシュームの領主である竜の所に行って、宝石おねだりしに行く話。一応、長老である竜がアーゼでは一番偉いので、トーレカの胃に穴が空いちまうな。

最近、キャラのビジュアルを考えようと思っているのですが、ササのメガネ、もう目でいいんじゃねって感じでギャグ可愛い仕上がりでこっそりにやにやしてます。ビジュアルほしいっすか? いや、うちの絵の需要ってそんなないから、要らないだろうなって思っているんですけどね。
むしろファルナンがイケメンだから、イケメン描くのしんどい。
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