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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 ササはミアリアークの来世であるミアに家財道具一式を持っていかれたと嘆いたが、大抵のものは残されている。本棚もそこに収まっている本も、食器や鍋の類も残されている。一体何を持っていたのだろうと首を傾げるが、ササがいつも座っている場所から手が届く範囲のものはごっそりと消えていた。それを見たササが叫び声を上げたのだから、大事なものなのだろう。
 ササが座っている場所で唯一残されたものは、とても柔らかいクッション。私もこのクッションに乗ると埋もれてしまう。冗談ではなく埋もれるのだ。包み込まれて暖かくて柔らかくて、ササの匂いがして眠くなる。ササがこのクッションにもたれてうたた寝する上に、丸くなって寝るのは好きだった。
 ササは私が部屋に入り込むのも出て行くのも止めなかった。体の上に乗っても文句を言わない。優しく迎えてくれる雰囲気は居心地が良かった。
 食事に関しては、彼女の無知に感謝している。人間の食事と変わらないものが出てきたからだ。私はこの世界では猫と呼ばれる生き物に似た姿をしているが、猫ではないのだから死ぬことはない。食事は美味しいものが良いに決まっているもの。
うとうとと微睡ながら世界を覗き見る。日差しが暑いくらいの快晴で、風は爽やかな昼下がりが視界いっぱいに広がる。眼下に視線を下ろせば、神を肩に乗せた勇者と美女と魔王と獣の神の器が、のんびりと山道を登っている。燦々と降り注ぐ日差しを、木の葉が柔らかく透かして彼らを包み込む。一番遅れて歩いているササが、深々とため息を吐いた。
「はぁー。こんな天気の良い日に、戦わなくてはならないとか拷問だよ。早く、元の世界に戻ってお弁当とお酒を持って、海にでも行きたい。早く終わったら連休中に帰れるかもしれないし、頑張ろう…!」
『海! 俺も行って良いんだろ?』
 嬉しそうな黒犬の頭を白い手がぺしりと叩く。魔王はしゅんと尻尾を垂らしたが、全くめげている様子はない。それもそうだ。行こうと思えば行けるのだから、ササに伺いなど立てる必要はない。これはバルダニガとササのコミュニケーションなのだと最近理解するようになった。
 他愛のない雑談を交わしながら、彼らは山道を登って行く。頭上をタシュリカが過ぎ去り、少し前に降り立つ場所が彼らの目指すべき場所。アーゼ・ナシュームでも山奥で開けた場所だ。ササとバルダニガが融合した状態で戦って、最も被害が少なく抑えられるべき場所として選ばれた目的地だ。
 タシュリカから降りたトーレカと親しげに挨拶を交わすと、ササは徐に眼鏡を外して差し出した。
「私の命の次くらいに大事な眼鏡。トーレカさん、預かってください」
「あぁ。わかった」
 緊張した面持ちのトーレカは、ササの眼鏡を布に包んで胸ポケットにしまった。飛び出してしまわないように、ボタンで留めぽんぽんと軽く叩く。こんなもんで良いだろう? そう問うようにササを見たトーレカに、小さく頷いた。
「では、始めましょうか。準備は宜しいですか?」
 えぇ、準備は万端よ。私は微笑んだ。この瞬間を心待ちにしていたわ。長い長い時間、待ったつもりだったけれど迎えてみると、あっという間だったのかもしれないわ。
 ファルナンとミアリアークが頷くのを認めると、ササはフードを目深に被り寄り添う獣に呼び掛けた。闇が膨れ上がりササを一瞬にして呑み込む。まるで凶暴な獣が獲物を一飲みにするような、不安と恐怖がこみ上げるような映像だ。闇は凝縮し、バルダニガの器だけが着ることを許された漆黒の外套がふんわりと風に揺れた。外套の内側は闇に沈み、静かに佇んでいる。
「佐々木…さん?」
 ファルナンがおずおずと声をかける。
 闇が人のように顔を上げたように見えたのは、フードがそう動いたからだ。
『はじめまして人の子。ひさしいね、ランフェスバイナ。俺達はアーゼ。きみたちには、獣の神のほうが分かりやすいかな?」


ついに執筆が追い付いてきてしまいました。ぐぬぬ。
く、原稿とビルダーズと仕事と前世を継続中を同時進行だと、どれかの比率が高まるときついものがあります。原稿が進んでしまったので許してほしい。刀剣乱舞の大阪城と並行してやってます。
ちょっと分割が読めないので1/?と記入させていただきます。ついに本気の融合状態のササとの戦いと、長らく存在だけが推測されたであろうアーゼさんの登場です。一気に佳境に入ってしまいたい!

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうござます!
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